Japanese September 2001 [BHC-5925] 産後の鬱 - 「隠れた」問題 Sad feelings after childbirth –a ‘hidden’ problem  通常、出産というのは幸せな出来事ですが、女性によっては、出産後、鬱や不 安感に襲われる人もいます。これはPND: postnatal depressionと呼ばれることのある産後の鬱病で、15%から20%の母親がかかりま す。しかし、この産後鬱病については話しづらいと思う女性もいるため、「隠れ た」問題となることが多いのが実情です。鬱や不安を感じる女性は、他の人に「 悪い」母親だと思われたり、母親としてうまくやれていないと思われるのを嫌っ て、誰にも言いたがらないことが多く、これが、更に本人の孤独感を増す結果に なることもあります。  しかし、産後鬱病や不安症になった女性が利用できる秘密厳守のヘルプサービ スがありますし、また、前もって出産の計画や準備をしたり、協力的なパートナ ーをもったり、どこに助けを求めたらよいのかを事前に知っておくことも、こう いった問題が起きるリスクを減らすことにつながるでしょう。 産後鬱病(PND)の症状は?  産後鬱病は、出産してから1年の間に、いつでも起こり得ます。出産直後に感情 的になったり、不安になることは誰にもありますが、これが2週間以上続いたり、 あるいは以下のような症状がひどい場合には、助けを求める必要があります: • 気分が沈んでいる。興味や楽しみを感じるものがない。 • 食欲に問題がある。 • 夜間の授乳後、なかなか眠れない。 • 産後、何ヶ月も経つのに、強い疲労感がとれない。 • 泣いたり、いらいらしたり、不安感があったり、頭が混乱している。自分は能 力不充分だと思う。 • パニック発作がある。一人でいたくない。 • 赤ん坊がもう数ヶ月になるのに、セックスに興味がない。 • 外出したり、人に会うのを嫌う。 産後鬱病の原因は?  新生児の世話はやりがいのあるものですが、ストレスの原因にもなります。母 親という新しい役割は、責任ある大変な仕事であり、睡眠はほとんどとれません 。この生活に慣れるまでには時間がかかる人もいます。特に夫やパートナーのい ない女性や、助けてくれる家族が近くにいない夫婦の場合には、赤ん坊の世話 するのが困難な場合もあります。「私の母は6人の子供を育てたのに、1人や2人 の子供で困っているなんて」という人がいますが、時代が変わり、親や親戚の援 Page 1 of 2 DEPARTMENT 助なしに子供を育てる夫婦が増えている上、経済的に共働きをせざるを得ない状 況も多いかもしれません。また言葉の問題や、過去のひどい苦痛やトラウマが、 初めて母親となったストレスに拍車をかける場合もあります。  一部の文化では、産後鬱病になるのは、妊娠中や出産後に古くからのしきたり に従わなかったからだと年配の人たちが信じていることがありますが、これが産 後鬱病の原因だという調査結果は出ていません。産後、鬱になることは、良い母 親ではないということではありませんし、神からの罰でもないのです。 産後鬱病になるリスクを減らすにはどうしたらよいでしょう?  妊娠中に前もって計画や準備をしておきましょう(以前の出産で、産後鬱病に なった経験のある人には、この事前準備は特に重要です)。 • 出産の時期には、他の大きな変化を避けるようにする(引越し、家の改築、転 職など)。 • 出産前の女性のためのクラス(antenatal class)に参加して、出産の準備をする(既に出産経験のある場合でも) • 出産後の赤ん坊の世話や家事について夫やパートナーと話し合い、相手に心の 準備をさせる。出産後には仕事をなるべく多く休めるように予定を組んでほし いと頼んでおく。 • 他にも子供がいる場合は特に、出産後、家族や友人に手伝ってもらえるように しておく。あるいは、助産婦や病院のソーシャルワーカーに、地元のサポート サービスについて聞いておく。 • 以前の出産で、産後鬱病になったことがある場合には、自分の主治医(GP) や助産婦にそのことを伝えておく。 産後鬱病にかかったと思ったら、誰に助けをもとめたらいいでしょう? • 主治医か助産婦 • 最寄りの乳幼児保健センター(Early Childhood Health Centre) • トレシリアン(Tresillian)ファミリーケアサービスの24時間電話サービス。電話( 02) 9787 5255または 1800 637 357 (料金無料) • カリテイン(Karitane)マザークラフトソサイエティの24時間電話サービス。電 話(02)9794 1852または1800 677 961 (料金無料)  英語で電話をすることが困難な方は、電話131 450の翻訳・通訳サービス(TIS: Translating and Interpreting Service)をご利用下さい。  マルチカルチュラル・コミュニケーションのホームページでは、これ以外にも 日本語の保健関連情報をご覧いただけます:http://mhcs.health.nsw.gov.au NSW Multicultural Health Communication Service Page 2 of 2 Website: http://mhcs.health.nsw.gov.au e-mail: mhcs@sesahs.nsw.gov.au